~喧噪のboleroたち~
作・演出 芹川 藍(劇団青い鳥主宰)
2017年2月5日(日)
ひたちなか市文化会館 小ホール
ここは便利屋「ドウ・オール・リクエスト」
今日もいろんなお仕事が舞い込んでくる。
引きこもりの子どもの話し相手、カラオケのご相伴、冠婚葬祭への代理出席。
そのたびにスタッフは右往左往、八面六臂の活躍をみせる。
それは世の中を映す鏡のような日々であった。
『便利屋』を知ったのは30年位前。
電信柱に「便利屋です!なんでもやります」のチラシ。
電球を変える、溝掃除をする、粗大ゴミを運ぶ・・・、日常の雑多な仕事を請け負っていた。
そして今、『便利屋』はその姿を変えて私の前に現れた。
のドキュメンタリー番組に映し出された繁盛している便利屋。
引きこもりの子どもの話し相手になって…、パチンコ依存症を一緒に治してほしい…、
偽装の家族になって…。
まるでカウンセラーやデイサービスのようである。
便利屋の責任者がインタビューに答えていた。
「ホントはこんな仕事、無くなればいいのです。」
本来なら、家族や友達やご近所さんのできること。
便利になり続けるこの先に何が待っているのか。
何が残り、何を失くすのか。
しかし、どんな世の中になろうと、人は健気な存在であると、私は思う。
そこにはいつも心があり、心で動き、心によって動かされると。
芹川 藍